リズミカルなスキップフロアの家S様邸

ブラックチェリー、モルタル。漆喰、ラワン、ステンレス。
異素材と階段で、ゆるやかにセクションを分けた空間構成。
多目的に活用できるスペースも。

選んだのは、イメージをカタチにできそうだったから

奥様 一軒家に憧れがあって、子どもが生まれる前からいろいろと情報を集めた上で家づくりを始めました。
インスタで様々な事例を見ながら、「外観はモルタルの質感を出したい」「内装ではラワン材も活かそう」「床はモルタルと木を組み合わせたいな」と具体的なイメージを膨らませていきました。特にモルタルは、汚れやキズに強い実用性を職場で実感していたので、必ず取り入れたいと思っていました。

ご主人 住宅展示場を見学してハウスメーカーの話を聞いたほか、設計事務所では図面まで描いてもらいました。
同時に土地も探していて、希望していたエリアにあった阿部建設の条件付き土地が目に留まったんです。会社のホームページで施工事例をチェックして「こういう家いいね」とふたりで話していました。

奥様 それで阿部建設の大森ウッドタウンに行ってモデルハウスを見学したら、漆喰や木の雰囲気がすごく良くて。それに担当の方が話をしやすく、モルタルの床も「できますよ」って快く答えてくれました。

ご主人 どんな要望も受け入れようというスタンスが印象的で、希望を叶えてくれそう!と感じましたね。

奥様 私たちが理想としたのは、アニメ映画の中に登場した、斜面に沿うように建てられた家。高低差のある地形を活かしたスキップフロアで構成される住空間です。アニメで描かれた家ではありますが、実際の建築家が設計を手がけています。
私たちの土地は斜面ではありませんが、こうした構成の住空間を実現したかったのです。阿部建設の注文住宅なら、思い描いたイメージをイチからカタチにしてくれそうというのが選んだ決め手でした。

奥様 ヒアリングを経てラフプランをいくつか提案いただいたのですが、初めは建物と駐車場のレイアウトで悩みました。ここの土地は南側に私鉄の線路、北側に道路があり、もし道路に沿って2台分の駐車場を確保するとなると、線路に近いところに家が位置することになり、音の問題がちょっと心配です。一般的には縦列駐車を避けるかたが多いそうですが、私たちは気にならないので、駐車場を縦長に確保し、家も南北に奥行きのある細長い形にしました。
このレイアウトが決まってから、線路に近い場所には“動作”するための部屋…1階にはランドリーと浴室、2階にはキッチンとトイレを配置することにしました。また2階は、キッチン、リビング、フリースペースと納戸までフロアにアップダウンを設けるプランを練っていきました。

ご主人 僕は開放感のある大空間を希望していて、壁をつくるのは寸断されるようでいやだったんです。だけど、部屋ごとの区切りはあった方がいい。この区切りを段差で表しました。ステップを上ったり下りたりするたびに、セクションが変わっていく構成です。

奥様 私はインスタで見つけた“木の箱”のような空間もほしいと思っていました。インスタのお宅ではトイレとして使っていましたが、わが家では2階のステップを上りきったところに、“ラワン材の箱”のように見える納戸を設けました。 ただ、スキップフロアにしたいといっても、実際にステップや小上がりを設けるとなると、どれくらいの高さで何段が適切なのか、そもそも無理はないのかは分かりません。阿部建設の担当者に相談しアドバイスを受けながら話し合いを重ねて、踏みきれました。

奥様 また、設計途中で戸惑ったのは窓です。ここは準防火地域のため窓に規制があり、網入りガラスを使用しないといけないのですが、それには少し抵抗がありました。担当者と話したら、窓の大きさによっては網入りを採用しなくてもよいということで、窓によってどんな室内外のイメージになるかをパースで示してくれたんです。

ご主人 パースは窓のサイズや位置を変えて何パターンも提示してくれ、視覚的に理解できて助かりました。
それと、軒のない家が叶うのもうれしかったです。建物の耐久性などを考慮すると、軒はあった方が良いというのは理解しているのですが、箱のような形にひかれます。相談した結果、軒を出さず、モルタルでシンプルに仕上げることに決まりました。

楽しみ方の幅広さや可変性の高さも魅力

奥様 打ち合わせに時間をかけ、思い描いた家ができました。実をいうと最初、夫は一軒家にこだわらなくてもいいんじゃない?とあまり乗り気ではなかったのですが、実際に住んでみて「いい家だなぁ」とつぶやいている姿を見て、良かった!と心から思います。

ご主人 家の中でも特に漆喰の壁や天井が好きですね。心地よくてテンションも上がります。

奥様 わずかな光でも、手仕上げのコテ跡が陰影をつくって、光と影による表情や風合いがなんともいえないですね。
私はすべてが気に入っていますが、あえて選ぶとすれば、最初から取り入れたかったモルタルの床です。料理をするときも食べるときも汚れを気にしなくてもいいですし、子どもが遊んでいてもキズを心配することもなくストレスフリーですから。
“ラワン材の箱”である納戸は、ダウンフロアの掘り込みになっていて、子どもは秘密基地や隠れ処のような感覚で遊ベて楽しいみたいです。ゆくゆくはここで子どもが勉強してもいいし、夫はパソコン、私は趣味の手芸と、収納以外に幅広い用途に利用できます。
また、子ども室は現在2部屋ありますが、将来的には壁をなくして一つの空間にすることも想定しています。そうした可変性の高い空間が多いことも気に入っています。

ご主人 今後は、勝手口の外のデッキをDIYで整備して快適な空間に仕上げたいですね。南側だから明るく、夏なら子ども用プールを持ち出したり、BBQを楽しんだり。ランドリーや洗面コーナーにつながる動線なので、手を洗うのも、水着やタオルを洗濯するのもスムーズです。家の中は満足のいく空間ができたので、家の外でも楽しめるようにしていこうと思っています。

奥様 私は家族や友人を招いてホームパーティーをしたいですね。2階はステップを利用すれば、ソファやイス以外にも座れるから、人数が増えても大丈夫ですし。

奥様 家づくりを振り返ってみて、これから始める方がいらっしゃれば、打ち合わせのしやすさにも目を向けてみるとよいと思います。私たちの場合は子どもが小さいこともあり、自宅まで来てくれたのがすごく助かりました。パースをつくってもらえることも重要で、パースがあると視覚的にイメージしやすくなります。何より、納得できるまで打ち合わせを重ねること。そこに寄り添ってもらえるような空気があるか、もポイントだと思います。

ご主人 今でこそ気に入っている漆喰ですが、実は採用を迷っていたんです。家づくりの過程で予算が増えていき、減額を検討した際に漆喰を断念しようとしました。すると、すでに話し合いを何度も重ねていた担当者が、僕らの好みを踏まえてあえて再提案してくれたのです。もしあの時、クロスに妥協していたらおそらく後悔していたでしょう。予算内に収めるために何でもやめるのではなく、妥協するところは妥協して、残すべきものは残すことが大切。一旦立ち止まって冷静になるとともに、自分たちの好みや価値観を理解している人に相談することもありだと思います。