はじめまして。設計・技術の中村です。
今回のテーマはオーダーメイド施工編です。
私がこれまで、現場施工を中心に家づくりに携わってきました。これまで経験したことをまじえてオーダーメイドの家づくりについてご紹介します。
阿部建設では無垢の木材を構造材としてはもちろん化粧材(壁の中に隠れずに、表に見えてくる材)としてもたくさん使って家をつくっています。
同じ種類の木材でも木目の向き、節の大きさ、色が異なるなど様々な表情があります。
中でも昔ながらの真壁化粧柱のある家では、プレカット工場で大工さんと一緒に柱を選別し、節の少ないもの多いもの、背割れの向きなどを考えて配置を決めていきます。
例えば、節もなくきれいな柱は、リビングの一番目に付く位置に、節が目立つ柱は押入れの中など目立たない場所に配置します。多いときには60本以上の柱を「あーでもない、こーでもない」と言いながら一本一本選んでいます。
柱以外にも床や天井、壁などで様々な素材と向き合いながら家づくりを行っています。
また、材料の選別の他に、お客様のイメージや要望、そして建物の空間に合わせた細かい*「納まり」を場所ごとに考え、調整しています。
具体的には、この部屋には厚みが薄くシャープな窓枠を、この部屋には天板に厚みのあるカウンターを、などお客様ではなかなかわからない細かい部分の検討を行います。
規格が決まっている既製品ではできない寸法をミリ単位で調整することでより良い空間をつくれることがオーダーメイドの強みであり、私たちの強みです。
お客様各々がご自身の新しいくらしをイメージし、私たちがその思いに寄り添い一棟一棟オーダーメイドで設計するとなれば、これまでの「納まり」が必ずしも別の建物できれいに納まるとは限りません。
それゆえ、私たちは、それぞれの建物の細部までこだわり、より良い納まりの検討、ご提案ができるよう日々こころがけています。
家を建てるには、木や素材の表情、「納まり」以外にも図面上では表現しきれないことがたくさんあります。
ですから、図面では表現しきれない点を私たち施工側から設計や、職人に積極的に提案し、一緒に検討することで、お客様にとってより良い家になることを目指しています。
お客様が図面や、パースなどの情報だけで、出来上がりの空間を具体的にイメージすることは難しいと思います。
私は、日々の経験を活かしながら、いい意味でお客様の期待を裏切る空間になるよう現場施工に真摯に向き合っていこうと思います。