突然ですが皆さんは「万人に合ったバリアフリー」と言われてピンとくるものはありますか?そもそも“バリアフリー“という言葉自体を身近に感じる方は少ないかもしれません。“バリアフリー”=「手摺を付ける、段差を無くす」など、いわゆる障がい者や高齢者の方への配慮というイメージをお持ちではないでしょうか?阿部建設が考える「万人に合ったバリアフリー」はこれとは少し違った意味を持ちます。
私たちが手掛けるのは、全てフルオーダー。そして「万人に合ったバリアフリー」を意識した住まいです。フルオーダーは、ご家族一組一組に異なるライフスタイル、趣味嗜好、ご要望がありそれに合った住まいを実現するための手法です。障がい者の為のバリアフリー住宅も同じです。例えば、同じ車いすユーザーでも、上半身は健常者と同じように動かせる、上半身は動かせるが腕力や握力が無い、上半身が動かないので自走も困難など、一括りに“車いす”と言っても身体状態はそれぞれ異なります。その方ができる事できない事に合わせて手すりの設置や水まわりの配置、収納の取り方、介助者の動線の確保などをオーダーで計画するため、「究極のバリアフリー」とも言われます。そのため“バリアフリー”=「万人に合う」というわけではなく、その言葉自体が一見矛盾しているように思えます。
しかし、“バリアフリー”を単純な「身体的バリアを取り除くこと」と考えるのではなく、もっと大きな視点で捉えてみると、実は世の中には様々な“バリアフリー”が存在しています。その一つが『温熱環境のバリアフリー』です。
こういった経験は無いでしょうか?ファンヒーターや暖房で暖かくなったリビングからお風呂に入ろうと廊下に出ると急に寒くなり、脱衣所で服を脱いでさらに冷える…。実はこの間には、15度以上の室温差が発生しています。当然身体にかかる負担はとても大きく、ヒートショックの原因としてよく知られています。寒さによる健康リスクは血圧上昇や肺の抵抗弱化があるため、「寒い家=不健康な家」と言えます。
そこで私たちは全棟に全館空調システムのひとつである【空気式床暖房】を提案しています。電気パネルや温水パネルによる床暖房ではなく、暖かい空気を床下に流すことで床自体が冷たくなく、廊下や水まわりも含めて家全体がほぼ同じ室温となります。阿部建設では、数ある空気式床暖房から予算とご要望に合わせて、壁掛式の一般的なエアコンを利用したタイプから全館冷暖房可能なタイプなど、いくつかの種類をご用意しています。
家全体が、暑すぎず寒すぎず一定の温度に保たれること。この「万人に合ったバリアフリー」は、人を選ばず誰にとっても快適な住まいと言えます。
次回は阿部建設でご提案している【空気式床暖房】の設備についてご紹介します。
業務企画室 室長 阿部