先月2月20日、名古屋市西区にて完成見学会が開催されました。当日は「空をキリトル家」と題されたこちらのお住まいにぴったりの、とても気持ちの良いお天気でした。
このお住まいの特徴は、なんと言っても吹抜けのある2階LDKです。設計担当として初めてプランをご提示したのは、一昨年12月の下旬。初回のプランでは“1階LDK”でご提案しましたが、奥様から「空を見ながら料理をしたい」というご要望を頂き、LDKを2階にもっていくプランで進めることに。現在のお住まいがマンションの高層階ということもあり、“戸建てでもLDKから空が見えるくらしがしたい”。そんなご希望からこの空間が生まれました。
2階はオープンキッチンを中心に、L字型でリビング、キッチン、ダイニングが続きます。同一平面ですが天井高の違いも生かし、メリハリのある空間となっています。
キッチン正面、東側の上部にはFIX窓を設置。朝には明るい光が差し込み、切り取られた空の景色はキッチンを特別な場所に変えてくれます。じんわりと心地良い暖かさが特徴のペレットストーブも、冬の愉しみの一つです。
普段の家事をラクにしたい!というご要望から、キッチンにもこだわりました。二列型、広めのキッチンカウンターで作業効率もアップ。
家電などを置く造作収納は、扉を引き込める仕掛け付きです。扉が邪魔にならないので、普段は使いやすく開けたまま。見せたくない時はサッと扉を閉めて隠せるので、いつでもスッキリとした空間を保てます。キッチン横には広めの家事室もあります。
吹抜けのリビングは勾配天井を通じて開口部を設けたロフトへと繋がります。この縦軸の繋がりによって、ゆとりとおおらかさを感じる空間となっています。
ロフトの開口部には障子を設えています。障子の柔らかなデザインは、伸びやかな吹抜け空間のポイントとしても生きています。
障子を開けたロフトからは、ゆったりと広がるLDKを眺めることができます。
ロフトは約12畳の広々空間で、収納兼お子さん達の遊び場。天井高が低いので、秘密基地のような感覚です。2階との繋がりを持たせることで、ただの収納空間ではなく“居場所”として設計されている点は、ご来場のお客さまからも好評でした。
障子を開けることで、ロフト空間に設けたエアコンの冷気を2階に吹き下ろし、快適な温熱環境を保つことができます。
こちらのお住まいは敷地の南側に道路があるため、必然的に駐車場も南側に・・・。お庭を設けづらい環境でした。元気いっぱいのお子様が3人。お天気の良い日は家族みんなで食事をしたり、夏はプールも楽しみたい。そこで、リビングとダイニング両側からアクセスできる2階に大きなバルコニーをつくることにしました。
バルコニーには、軒先から1m以上出る形で屋根が掛かっているので、雨の吹き込みも安心です。屋根がかかることでリビングが暗くならないよう、トップライトも設置。LDKと一体で使えるセカンドリビングです。
お子さんのための“遊べる空間”はまだまだあります。
1階の中心には畳敷きのライブラリーコーナー。各居室からアクセスしやすく、造作の本棚にはたくさんの本が収納できます。ゴロッとできる家族みんなのくつろぎ空間は、ご来場のお客さまからも「いいですね」というお声を多くいただきました。
2階の家事室からロフト空間には、雲梯とボルダリング。壁面のボルダリングはお施主さまが施工します。ワクワクするような遊びゴコロのある空間が広がっています。
海外赴任のご経験もあるお施主さま。インテリアもこだわりたい!というご希望もあり、インテリアコーディネーターを入れ、照明から建具のデザインまでこだわりました。格子戸やガラス戸、間接照明、ライトコントロールなど、使い勝手とデザイン性を両立させています。
お施主さまは“性能”にもこだわりをお持ちでした。安全性・断熱性・気密性。どれも疎かにはできない重要な要素です。耐震性能については、WALLSTATで深度7の地震でも倒壊の心配がないことを検証。気密性能については、断熱材の吹き付け施工前とお引渡し前に気密測定を実施。お引渡し前の測定ではお施主さまも立ち会いました。結果、C値(気密値)は0.55(引渡し時計測)。断熱性能はUA値0.47。性能面でも目標以上の結果となりました。
* 阿部建設では性能数値についてもお客さまのご要望に添えるよう対応いたしますので、ご相談ください。
ライブラリーやロフトの空間は子供たちの遊び場所として設計していましたが、お引渡し後にお話を伺うと、帰宅後はみんなロフトに直行するそうです。設計していた通り喜んでいただけたようで、安心しました。オーダーメイドならではの、性能・デザインとライフスタイルの両立ができた、妥協のない家づくりとなりました。
下のお子さんは将来、家を設計する仕事がしたいと言ってくれているそうです。そんな風に住まい手さんの人生に関われる仕事ができて、とても嬉しく思います。これからもお客さまのくらしに寄り添う家づくりに努めていきます。
設計 佐藤