新オフィスオープン記念イベント第2弾として開催したトークイベント。10月の泉幸甫さんに続き、11月は阿部建設のモデルハウスkitchen SALONを設計していただいた連合設計社市谷建築事務所の代表/戎居連太さんをゲストにお迎えしました!
トークテーマは前回と同様【コンセプトのある暮らし】です。
フルオーダーの注文住宅をご提案する上で重要な“コンセプト”ですが、いざプランを考え出すと、なかなかこの“コンセプト”を見出すことが難しかったり、明確な「コレ!」というものにたどり着けなかったり…ということがあります。
今振り返ってみると、設計を始めたばかりで上手にプランニングできていない頃の方が、意外と“コンセプト”に忠実にやりたいことを描けていたのかなと思うこともあります。(プランはめちゃくちゃ、生活動線もイマイチで、構造などは納まっていませんが…。)
ご相談に来られたお客様に「どういったお家にしたいですか?」とお聞きしても、ずばり「こんなコンセプトのお家にしたいです!」と仰られる方はなかなかいません。それもそのはず。理想の家のイメージというのは大抵漠然としたもので、車や家電と違ってかたちのない商品だからです。(その点おいて、建売住宅と注文住宅は大きく違いますね)
人生最大でひとつの分岐点にもなりうる、家という買い物。むしろそこに最初から、明確な答えを教えてもらおう!なんて思うこと自体がナンセンスかもしれません。
さて、トークイベントの中で特に印象的だったお話があります。
「お客様の潜在的な願望、真意をヒアリングで伺いながら、かたちにしていく。」
「こちらが提案した内容が自然と、お客様にとってのコンセプトになる。」
私たちの仕事の本質は、確かにそこにあるなと再認識させられました。
間取り、広さ、空間、見え方など、かたちの無いものを図面に落とし込み、表現し、創生していくのが我々プロとしての役割です。
お客様の発した言葉やご要望をそのままスポット的に取り入れ、空間をつくるだけではプロとして不足しているのだなと感じました。
私自身、昨年自邸を設計・建築したのですが、妻に「どのような家にしたいか?」と聞いても、
「何が良いのかわからない」
「家事が楽な家が良い」
といった感じで、どのようなプランにすればいいのか全くわからず、困惑したことがありました。
それならばと、妻の生活スタイルをじっくりと観察しました。
お料理ひとつ、洗濯ひとつ、帰宅後の動きや家族団らんのシーンもイメージして。
そうすることで、「この動作はこうしたら楽だろうな」「収納はこうつくった方が良さそうだ」などと、
明快な道筋のようなものができてきました。
その後提案したプランは現実のものとなり、実際に生活している今は、想像以上に家事や育児のストレスがないと言ってもらえています。
自邸については語るとキリがないのでこのへんで…。
コンセプトというと少し堅い表現かもしれませんが、お客様の潜在的な意識をかたちにしてご提案ができれば、阿部建設に期待して来てくださった方の想像を超える、良い暮らしをお届けできるのかなと思います。
日々仕事に追われる中でつい忘れてしまいがちな「家づくりの本質」について、改めて考えさせられた有意義な時間でした。
さてトークイベント最終回、建築家・伊礼智さんの対談については、来月のスタッフブログでご紹介できればと思っています。
対談の中で、伊礼さんはコンセプトは必ずしも必要ないとおっしゃっています。
気になった方は、今回の戎居連太さん、前回の泉幸甫さんの対談と合わせて見逃し配信をお届けいたします。
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設計 八代