「心地よさと機能美が溶け合う家」完成見学会を開催しました2024.06.05

こんにちは、設計の三宅です。
4/27、28に名古屋市南区にて完成見学会が開催されました。
 
外観はそとん壁を使った~…と、いつもの流れであればここから家の紹介をしていくのですが、今回のブログは自分が設計した物件なので、ちょっと違うことを書こうかなと思います。
 

 
設計の、一番最初の部分


阿部建設の家づくりは大雑把に言うと、設計に半年、施工に半年かかります。この物件についても同様で、考え始めた時期は引き渡しからさかのぼるともう1年以上前になります。
 
設計をするときに、まず考えるのはその場所での暮らしかた。今の暮らしから、“お施主さまの理想の暮らし”、“設計者が提案する暮らし”、間取りを考えながら、暮らしの想像を膨らませていきます。
建物が完成するとどうしても、分かりやすい間取りや動線、ディテールの話ばかりしてしまいますが、今回は家づくりにあたって最初に考えていたことを振り返ってみます。
 

 
居場所がいっぱいあるといいよね


これはどんな物件でも、自分が設計する上で意識しているポイントの一つです。
座ったり、寝転んだり、もたれかかったり、それぞれが思い思いにくつろぐ。そんな多様な過ごし方を許してくれる空間が、家じゅうにあったら居心地がいいだろうなと思っています。
 
この物件は、「座れる場所」を点在させるイメージでした。
お施主さまとの打合せ中に何度か、人が集まったら…泊まったら…という話題が出たので、大人数がきてもそれぞれに“居場所”があるように、とご提案しました。
 

 
畳コーナーの小上がりやTVボード、階段の踊り場など、ダイニングを中心にして“高さの違う居場所”を散りばめています。窓際にいたい気分の日もあれば、そこから離れて景色を眺めたい日もあって。今の気分に合わせた“居場所”を選んでもらえたらいいなと思います。
 

 
外を感じて生活する


モデルハウスをご案内した時から「外を感じながら生活したい」とおっしゃっていたお施主さま。南側に道路のある敷地で駐車場も確保しながら、外部空間をどう取り入れるか。どんなつながり方がこの敷地に対して自然なのか?そんなことを考えながらプランニングしていきました。
 

 
そのひとつの解として設けたのがL字の窓です。建物を切り欠くようにつくった庭に向かって配置され、この家のシンボル的な存在です。その周りに“居場所”が配置されることで、どこにいても外部とつながっているような心地よさが生まれます。また外へ外へと視線が誘導されるので、ほかの場所にいる人と視線がまじわらず、ちょうどよいプライベート感が感じられることも期待しました。
 

 
ポイントとなる庭に面した窓は「景色の窓」、それ以外に設けた窓は「光の窓」という意味づけをしています。覗いた先の景色のためではなく、外の光を感じるための窓です。
急に薄暗くなったなーと思って外を見ると、太陽が雲に隠れていて、また少し経つと窓際が明るくなってくる。そんな時間の移り変わりを体感できるのは、家にいながら外と繋がっているということ。住まい手の特権だなと感じます。
 
 
家の中で変わっていく景色


建築用語でいうとシークエンス、ですね。「移動することで変わっていく景色」「徐々に変わっていくデザイン」というような意味です。住宅よりも美術館などを設計するときによく用いられます。
すべての空間が一目でわかるのではなく、移動することで徐々に見え隠れするような、わくわくする空間体験ができれば…と考えました。
 

 

 
直接空間は見えないけれど、自然光がさして明るくなっていたり…。壁で区切られて見えないけれど天井は向こうまで続いていたり…。
「この先に何か空間がありそうだぞ」と思わせることで、実際の面積よりも広く感じられる視覚的効果もあります。部屋と部屋との移動時間も単調にならずに、家で過ごす時間すべてを楽しんでもらえるよう設計しました。
 

 
これからの暮らし方


暮らしにはそれぞれのかたちがあります。
「どんな暮らしがしたいか?」暮らしを自分で選択できるのが注文住宅の面白いところでもあり、難しいところでもあります。今回見学会に来ていただいた方が、この家の暮らしをヒントに自分の暮らし方のイメージを見つけていただけたら幸いです。
 

 
 

設計 三宅

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