住宅の性能を考えるとき、皆さまはどのような基準が浮かぶでしょうか?
「暑さ寒さに悩まない家が良い」「昨今の値上がりもあり光熱費を削減したい…」など、家は違えど、どのご家庭にも共通しているのはこういった身近なご要望だと思います。そんなご要望を叶えるために、【ZEH】はひとつの大きな指標になります。
最近は様々なツールで情報が多数発信されているため、より具体的な“UA値”や“一次エネルギー消費量”といった言葉、それがどういったものかをご存知の方もいらっしゃるかと思います。
【ZEH】とは、「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」の略称になります。家で消費するエネルギーに対して、断熱性能向上・省エネ設備の採用・太陽光発電による創エネルギーがつりあい、収支ゼロになる…。つまり、『自分の家のエネルギーを自分の家で賄える住宅』のことを指します。さらに発展すると、LCCM(ライフ・サイクル・カーボン・マイナス…居住時だけでなく、建築中やいずれ解体する際のCO2までを賄う)という基準もあります。
それでは、【ZEH】の要素をより具体的に紐解いてみます。上記で挙げたように、ポイントは、3つ。
① 断熱性能
室内と屋外での熱移動を少なくし、エネルギー効率を上げるための性能です。UA値(外皮平均熱貫流率)・ηAC値・ηAH値(冷房・暖房期平均日射熱取得率)の数値で表示されます。
これらの数値は、外壁に使用する断熱材の種類や、開口部(窓・ドア)の大きさや製品自体の性能、または建物の外皮面積(外気に直接接している部分や、天井断熱時の天井面、床断熱時の床面自体なども含まれる)が計算に影響されます。性能の良いものを採用することはもちろん、設計時にむやみに外皮面積を増やさない(建物の凹凸を減らす)、開口部面積を必要以上に増やさないことも、数値をよくする手法のひとつです。
デザインと性能のバランスを考えることが、私たち設計の大事なこだわるべきポイントですね。
阿部建設のUA値は、国が定めたZEH強化外皮基準(6地域0.6以下)をほぼ全棟満たしております(※例外:土地の高低差により高基礎面積が大きい場合など)。物件により異なりますが、8割以上がHEAT20 G1(6地域0.56以下)を達成しており、その半数ほどはHEAT20 G2(0.46以下)相当になっています。
HEAT20とは、「20年先を見据えた日本の高断熱住宅研究会」により室内温熱環境の評価として独自の断熱基準を提案しているものになります。ZEH基準よりも高い性能値となり、例えばG1は最低室温がおおむね10℃を下回らないものとして評価しています。
② 省エネ設備
採用する空調・換気・給湯・照明の性能も重要な要素で、これらも全て計算に反映します。
例えば空調(エアコンなど)は、設備自体がどの性能区分に該当するのか、どれだけの面積に対して効かせる必要があるのか、といった点も関係してきます。細かいところでは、使用する水栓(キッチン・浴室・洗面など)に節湯機能があるかも評価されます。
水まわりの設備を考えるとき、カタログなどで「節湯C1」といった表記を見たことはありますでしょうか?これは「水優先吐水機構」を指しており、ほかに手元止水(節湯A1)や小流量吐水(節湯B1)といった機能表示もあります。いずれもエコ効果が認められている節湯種類を示しており、構造によって区分されています。
● 節湯水栓の定義(日本バルブ工業会出典)
大幅な変化はなくとも計算値がよくなるのはもちろん、光熱費の節約にも繋がり、お財布にやさしい機能です。
また、少し話はそれますが、リフォーム時にも節湯水栓、その他省エネ設備を採用することで補助金(こどもエコすまい支援事業)を受けることができます。省エネ設備の導入は国を挙げて推奨されています。
● こどもエコすまい支援事業の詳細はこちら。
③ 太陽光発電
先の①②の性能を上げることでおおむね基準エネルギーの3割ほどを削減できますが、ZEHを満たすためには残り7割に該当するエネルギーを創る必要があります。そのため、太陽光発電搭載はZEH住宅の必須条件となります。必要になる容量は物件の規模によりますが、一般的な住宅でおよそ4kWがひとつの目安になります。また、太陽光を載せる際は南屋根面積の確保もしておきましょう。
これらをクリアしZEH達成すれば、さまざまなメリットがあります。(以下、経済産業省ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)に関する情報公開について-省エネ住宅 | 家庭向け省エネ関連情報 | 省エネポータルサイトより引用)
(1)経済性
高い断熱性能や高効率設備の利用により、月々の光熱費を安く抑えることができます。さらに、太陽光発電等の創エネについて売電を行った場合は収入を得ることができます。
(2)快適・健康性
高断熱の家は、室温を一定に保ちやすいので、夏は涼しく、冬は暖かい、快適な生活が送れます。さらに、冬は効率的に家全体を暖められるので、急激な温度変化によるヒートショックから起きる心筋梗塞等の事故を防ぐ効果もあります。
(3)レジリエンス
台風や地震等、災害の発生に伴う停電時においても、太陽光発電や蓄電池を活用すれば電気が使うことができ、非常時でも安心して生活を送ることができます。
聞き慣れない単語も沢山あり、具体的にどうすればZEH住宅が建てられるのか、達成条件が難しいのでは?と思われる方もいらっしゃるかもしれません。実は、阿部建設の家は特別なオプションをつけずとも、ご提案段階から「太陽光を載せるだけでZEH達成」が可能です。また、国や各自治体でもZEH住宅に対して様々な補助金交付を行っており、補助金を上手に活用して太陽光を載せ、ZEH住宅を建てられるととてもお得です!補助金活用も合わせてご提案・サポートいたしますので、ぜひご相談ください。
※ 阿部建設では、ZEHビルダーに登録しており、「新築物件におけるZEHが占める割合を2025年度までに50%以上とする」ZEH普及目標を以下の通り設定し、実現に向け努めております。
<2022年度の実績はこちら>
設計 水谷