家の建て時はいつ?(後編)2024.10.09

「家を建てる」タイミング、後半は少し建築業界のお話にも踏み込んでみます。
 

土地の価格と市場動向


土地の価格や不動産市場の状況も、家を建てるタイミングを考える上で重要な要素です。特に名古屋市内の都心部や郊外の駅前など、人気のエリアでは土地価格が上昇傾向にあります。このような利便性の高いエリアを候補地として考えている方は、早めに購入しておく方が得策と言えます。
 
下記は、ダイヤモンド不動産研究所がまとめたデータです。利便性の高い名古屋市内の中心部は当然のことながら、トヨタ自動車のお膝下である刈谷、知立、安城は地価ランキング上位。名古屋までのアクセスがしやすい一宮、小牧、春日井なども毎年地価が上昇傾向にあります。また、住宅地として人気の長久手、日進においては、実は一部の名古屋市内よりも地価が高いというデータも出ています。
 


一方で地価が下がっている地域もあります。主に新城や田原、美浜町など、都心部からのアクセスや利便性に劣る地域です。郊外の中でも駅が遠かったり過疎化が進んでいる地域では土地価格は下がる傾向にあるため、タイミングに振り回されることなく購入に踏み切れる、また、土地費用を抑えられた分、建物に予算を充てることができるというメリットもあります。ただし、気をつけなければいけないのは「価格が下がる=需要が少ない」ということです。将来的に売却などを考えた場合、その時点で土地の価値はさらに下がっていると予測でき、相続として次世代に残す際に頭を悩ます可能性が出てきます。そのため、建物に予算をかけたいがために安いエリアの土地を安易に選ぶことはおすすめできません。慎重に判断する必要があります。
 

では、愛知県全体で地価はどうでしょうか?バブル崩壊後に下がっていた地価は、2010年ころから上昇傾向にあり、近年は前年比5%以上上昇を続けています。人口も減っていくはずなのになぜ上がり続けているのか?「いつかは下がるんじゃないの?」と思う方もいるかもしれませんが、私個人の見解は、当分下落傾向にはならないと思っています。
 

それはなぜか?こちらのデータを見てください。
47都道府県別の前年比の地価変動率ですが、一般的に地方と呼ばれている都道府県は地価が下落しています。逆に都心と言われる地域が上昇率ランキングの上位を独占しています。人口が都心に集中し、地方から人が流入していることがよくわかります。そのため、3大都市圏である名古屋市周辺は当分土地価格が大きく下落することはないと考えています。
 
人気のエリアや条件が良い土地は、情報が掲載されその日のうちに売れてしまうことも多々あります。しかし、仕事や家事、育児をしながら常に土地情報とにらめっこ…というのは大変難しいことです。そして、その先の家づくりまで考えると頭が痛くなる…。そんな方はぜひ、阿部建設のグループ会社である中部地所にご相談ください。不動産の専任スタッフが、お客様のご要望をしっかりとヒアリングし、ファイナンシャルプランの結果も踏まえた上で、最適なエリアや土地情報をご提案します。お客様自身で不動産会社と連絡を取るのは煩わしいことも多いと思いますが、弊社が窓口となってどんなご相談、どんな物件でもご案内可能です。
 
土地はタイミングが命!人より先にいち早くスタートダッシュが切れるように準備をしておく、ということがとても大切です。
 

建築業者、建築材料費、人件費


さて、業界事情も家づくりのタイミングに大きく関係します。例えば、“建築業者の仕事の空き具合”や“建築材料費”の動向です。これはお客様にはなかなか分かりづらい部分ですが、実は非常に重要な要素です。
 
家を建てるとき、どんなに仕事が早い業者でも「設計~完工」まで半年程度はかかることが多いです。つまり、半年前には自社の仕事の状況が読める状況です。もし仮に半年後に売上がないという時、建築業者はどうするでしょうか?なんとしてでも目の前のお客様の受注を取りたい!契約や工事を急かされるような状況が生まれてしまいます。
このような、いわゆる“お腹が空いている業者”は、値引きやサービスなどの条件も引き出しやすく、結果的に建築費が抑えられたり早く着工できるというメリットもあります。しかしながら、直近の仕事がない建築会社がどのような会社なのか、しっかりと見極める必要があります。キャンペーン価格やモニターキャンペーンなどの魅力的なキャッチに惹かれて、安易に契約をしない慎重な判断も必要です。
 

ハウスメーカーなどはそのあたり、とてもうまく宣伝します。私が以前働いていたハウスメーカーでは毎月モニターキャンペーンがありました。別のハウスメーカーでは競合になると500万円の値引き、モデルハウスプレゼント!など、目を引く謳い文句で受注獲得を狙います。大げさな話に聞こえるかもしれませんが、お客様で金額を精査できない(適正価格がわかりづらい、比較検討しづらいなど)住宅業界では往々にしてこのようなことが起こっています。人生で一番大きな買い物である以上、全ての不安は払拭することはできないので思い切りも必要ですが、契約の印鑑を押す前に、今一度「自分はなぜこの家が欲しいのか?」「このメーカー(工務店)に何を求めているのか」などを考えてみることも大切かと思います。
 

建築材料の価格はどうでしょうか?実は半年に一回程度、何かしらの材料は値上がりをしています。為替による円安の影響、ウクライナ戦争、石油価格高騰など、その要因はさまざまですが、一番は日本社会がインフレ社会になったことが大きいと考えます。私個人の意見ですが、一度値上がった材料は下がることはありません。逆に今までが安すぎたのかもしれないという意見もあります。「生活用品〇〇品目値上がり」と度々ニュースで流れていますが、建築材料も同じように値上がりしていると考えると、今が最安値!とも言えます。
 
記憶に新しいのは「ウッドショック」という言葉ではないでしょうか。コロナによって引き起こされた一時的な木材価格の上昇ですが、「今はもう終わったんでしょう?」と思われている方も多くいらっしゃいます。実はこちらも終了したのではなく、【一旦、上昇は落ち着いた】という言う方が正しいと思っています。というのも、コロナ以前の価格には戻っていないからです。ピーク時の2021~22年よりは半額近くまで戻ってきていますが、そこからは価格は再度上昇しています。そのため、他の物品と同じく今後大きく下がることは見込めないと思っています。また、直近の木材価格が下がったとしても、材木屋が買い付けをして納品されてから製材を行うので、すぐに価格には反映されません。やはり、今が最安値と言えるでしょう。
 


 
それと連動するのが人件費です。働き方改革や建設業の労働環境に対する厳罰化も施行され、人件費も日に日に上昇しています。特に単発で仕事を依頼する場合や、フリーの職人さんの人件費の高騰が著しいです。材料費も人件費も今後上がり続けることを考えると、今が建て時という言葉は間違いではありません。
 


今回、家を建てるタイミングにはさまざまな要素があり、その背景もあり…ということをご理解いただけたかと思います。冒頭で、プロの視点からみた「建て時はいつなのか?」という質問の回答は「人によって違います」とお答えしましたが、これらを踏まえた上でご自身でそのタイミングを見計らう必要があるわけです。
建築費の部分だけで言えば、材料費や人件費の値上がり、金利の上昇リスクを考えると今すぐ建築することが正解と言えるかもしれません。しかし、それだけの理由ですすめるということはできません。大切なのは「焦って決めないこと」だと思います。
 

「資金計画が腹落ちして、しっかりと整理されているか」
「ご家族の同意が得られているか」
「家づくりの具体的な要望やイメージができているか」
 
当たり前と思われるこれらの前段階の準備が整っていない状態(曖昧な状態)というケースも度々見られます。この状況で進めると、後々トラブルに発展する可能性もあります。また、建築に関する知識や情報を十分に収集し、信頼できる建築業者や設計士と連携できる体制を整えることも大切です。
 
家を建てる。その中でも特に注文住宅は、理想の暮らしに繋がる一大プロジェクトです。納得いくまで準備をして無理のないスケジュールで進めることが、満足のいく家づくりへの第一歩です。
阿部建設では、ファイナンシャルプラン、土地相談、建築相談、無料設計などさまざまなサポートをご用意しています。家づくりを考え始めたばかり、まだ計画段階、という方も大歓迎です。ぜひ一度ご相談ください。
 
 

専務取締役 阿部将也

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