インテリア推進担当の志水です。
今年の夏に、安城市のインテリアショップsoup.さんで「カール・ハンセン&サン CH24 全国巡回展 2024」が開催されました。法人向けのお話会もあるということで、ぜひ!と思い参加してきました。
今回はCH24(Yチェア)にフォーカスを当てた企画展ということで、Yチェアの歴史やデザイン、メンテナンス方法などを実演をまじえながら深く学びます。
こちらのカール・ハンセン&サンの中でも一番人気と言われるYチェア。インテリア好きな方はもちろん、どこかで一度は見たことがあるかも!なんて方も多いと思います。
こちらはYチェアを解体しパーツをずらっと並べた展示です。普段なかなか見ることができませんよね。Yチェアができるまでの工程や家具づくりへのこだわりについてお聞きしました。
Yチェアは14個のパーツを組み立てたもので、その工程はなんと100にものぼります。ほとんどは機械作業ですが、その中でもペーパーコードを編んでいく工程は熟練の職人の手作業。120m以上もある耐久性と強度に優れたペーパーコードを綺麗に編むことで、見た目も美しく長く座り続けられる一品が生まれます。
最初は、ペーパーコードつまり「紙」を使っているので、耐水性、耐久性は大丈夫なのかな?と思いましたが、樹脂を練り込むことで、頑丈なペーパーコードになります。また表面は蝋でコーティングしてあるので耐水性にも優れています。
こちらはメンテナンス実演中の様子です。多量の水をペーパーコードの座面にかけても強度は変わらず、石鹸水を含ませたタオルでトントンと叩いて汚れ(実演の時は醤油)をとっていました。
実演を見た時は「こんなに水をかけて大丈夫なの?」と驚きましたが、Yチェアは木部にソープフィニッシュ(石鹸水による木材の保護)を使用しており、石鹸に含む油分で木材を保護しています。触り心地もさらっとしていて、白木の色味を残したまま木部を保護できます。大部分の水は弾くので、かなりの水をかけてお掃除しても大丈夫!と言うわけです。
Yチェアにはソープフィニッシュ仕上げ以外にもオイル仕上げやラッカー仕上げなどもあり、仕上げによってメンテナンス方法は変わってきます。YouTubeなどにもYチェアのメンテナンス方法が出ていますので、気になった方はぜひチェックしてみてください。
さて、カール・ハンセン&サンはデンマークの家具メーカーですが、日本でもとても人気があります。ではなぜこんなにも日本人に愛されているのでしょうか?
その背景には、中国の優美な曲線美の椅子からインスピレーションを受けたデザイン、多様な座り方ができる座り心地の良さ、機械作業と職人の手作業によって実現した高い耐久性などがあります。
そんな家具が生まれた背景にあるのが、北欧で暮らす人々の生活スタイルです。
フィンランドやアイスランドなど、北欧は世界の中でも幸福度が高い国として有名です。衣食住の中で最も重点をおいているのが「住」。衣食は優先順位が低いんです。なぜなら、北欧の国々は労働時間が短く、また冬が長く日照時間も短い。つまり家で過ごす時間が長いため、「シンプルで長期間使っても飽きがこない快適なものをデザインしよう」という考えが広く根付いています。
幸福度の高い地域、国々では等しく、住環境を重視していることがわかります。
家は、ただの「モノ」ではなく「ライフスタイルを充実させるプラットフォーム」です。
普段の生活に必要なものは質の良いものを。毎日座る椅子に10数万円払うことを高いと思わず、“必要な買い物”と考えています。
国ごとに文化や習慣は異なりますが、幸福のために「毎日使うものは長く使える良いものを選択する」ということがとても大切なことに思えました。
当日はカール・ハンセン&サンの家具がずらっと並び、普段のショップではなかなか見られない家具も展示されていて、とても貴重な体験となりました。今回のイベントを通じて、デンマークの家具についての理解が深まると共に、長く愛される秘訣というのは、住まいやそれに付随する家具においても北欧の考え方と共通する部分が多くあることを感じました。
毎日使う家具もこだわりの詰まった住まいも、お客様の暮らしに合ったご提案で、長く愛せるものとなるよう努めていきます。
設計 志水