ル・コルビュジエの哲学が 「息吹く」モダニズム建築2025.05.21

皆さんGWはどのように過ごされましたか?
私は4月26、27日に開催された「文化のみち」界隈を楽しむ体験型ワークショップいくいくみしるのイベントの1つ、名建築を探検する『ブラミシル』に参加してきました!今回訪れたのは「中産連ビル本館」です。案内してくださったのは、全国的にファンが多い渋ビル手帖の著者ユニット「名古屋渋ビル研究会」のおふたり。建築好きにはたまらない“モダニズム建築”をイベントの様子とあわせてをご紹介します!
 

さて「中産連ビル本館」は、名古屋城から徳川園にかけて広がる、武家屋敷や財界要人の邸宅、町家、近代産業の町工場など、高度成⻑時代の華やかな歴史を持つ一帯に佇む4階建てのオフィスビルです。もしかしたら、確定申告の会場としてご存知の方もいらっしゃるのではないでしょうか。設計は、かの有名な建築家ル・コルビュジェに師事された、故・坂倉準三氏です。
 
ピロティ部分が浮遊感を感じさせる本館は、昭和38年に完成。一枚一枚職人が焼いて貼っていった緑色の大佛タイルとランダムな白いポツ窓が目を引きます。
 

 

東側のピロティ―から中へ。床は真鍮の曲線が描かれ、杉板の木目の柱、歴史を感じさせる階段など、いろいろ気になる所がありついつい足を止めてしまいます。
 

 

 
まずはカンファレンスルームで「名古屋渋ビル研究会」の謡口志保さんから建設時の図面や写真を見せていただきました。62年もの長い間大切にされてきたからこそ、現役のオフィスビルとして運営されていることを知りました。
レクチャーの後は見学です!カンファレンスルームのカーテンを開けると目の前には開放的な屋上庭園。屋上庭園に出ると、遠くからしか見られないロンシャンの礼拝堂を彷彿される庇を間近で眺められます。
 

 
 
彩り豊かなタイルに触れながら、窓まわりの納まりなど“ツボにハマる”デザインがたくさん!話題に尽きません。また今回は、新館の屋外階段を登り上から庭園を眺められるという貴重な体験も。皆さんのテンションが上がります。
 

 
続いて3階、2階へと降りていきます。ここはポツ窓のある階。中からみるとどんな感じなのか楽しみにしていました。開放的な4階のカンファレンスルームとは異なり、2、3階はランダムなポツ窓も違和感なく落ち着いた雰囲気のお部屋でした。
 

点検口と照明がデザインされた部屋、壁面のルーバーが特徴的な部屋、ポツ窓が額縁の様に見える部屋などがありましたが、どれもポツ窓から差し込む光がとてもきれいでした。
 

 
 

なかでも私が一番気に入ったのは、こちらの控え室。写真で伝えきれないのが残念ですが、少し光沢のある壁紙に差し込むポツ窓からの光がとても印象的でした。
 

また同様に、こちらのトイレも艶のあるタイルに差し込む光がとても美しく、タイル貼りのトイレのイメージが覆りました。
 

1階では、階段の造形や手すりなど、愛でるポイントを聞きながら皆さんここぞとばかりにカメラを構えます。
 

 

最後に外へ出て、コルビュジェの提唱した①ピロティ ②屋上庭園 ③自由な平面 ④自由な立面 ⑤水平連続窓の「近代建築の5原則」をを取り入れた建物ということを改めて振り返りました。
 

素敵な建物を維持していくだけでなく、性能や機能も時代に合わせながら改修されていった歴史が、このビルの魅力のひとつだなと感じました。普段なかなか入れない部屋を見学でき、今後お客様へのご提案の際に参考にしたい納まりなどもたくさん得ることができました。貴重な機会をいただき本当にありがとうございました!

 
 

設計 前田

この記事をシェアする

関連するブログ記事

ブログトップに戻る