ご主人 子どもが入園するまでに家を建てたいと、住まいづくりを考え始めました。敷地は妻の実家のすぐ目の前。かつては駐車場などに使っていて、10年近くそのまま空いていた場所です。
奥様 この土地は間口がコンパクトで、周り三方を家に囲まれ、日当たりも心配でした。それでも、“豊かな家”をつくりたいという思いがありました。
ご主人 家づくりについて本やインターネットで情報を集める中で、小さくても豊かな住まいづくりを提唱する建築家・伊礼智さんとコラボレートしている阿部建設を知りました。それでモデルハウス「大蔵町の家」(※1)を見学したら、僕たちのイメージと重なり、こんな家がいいよねって一致したのです。
奥様 理想に近い住まいでしたし、全館空調も印象的でした。内覧会は冬でしたが、寒がりの私でも全然問題なかったんです。その理由が全館空調にあると知り、床から底冷えするというそれまでの一戸建てのイメージが変わりました。ほかのハウスメーカーや工務店も検討しましたが、阿部建設なら全館空調と断熱性能で寒さ対策ができ、コンパクトな敷地で豊かな家づくりに対応してもらえると思い、ここに決めました。
ご主人 家をつくるにあたっては、現在だけでなく、僕らが年齢を重ねた将来も考慮し、生活に必要な機能は1階に集約するようにしました。生活動線に配慮したり、車いす用スロープを設けたり。このほか、子どもが遊べ、植物を育てられる庭もぜひつくりたかったですね。
奥様 建物の形や玄関・水回りの位置などは、風水の要素も取り入れています。知り合いに詳しい人がいて助言をもらいました。
途中、悩んだのはシステムキッチン選びです。当初はII型(2列型)を考えていたのですが、ダイニングに円卓を置きたかったので、そうなるとスペースが狭くなってしまうな…と。壁付けのI型にすると空間を広く使えますが、ダイニングやリビングから丸見えになります。だったら、かっこいいキッチンにしたいと思い、オーダーでつくることにしました。ところがまた問題が発生します。インテリアのような一枚のステンレス製天板を置こうとしたら、長さが4.2メートル。玄関から入らないため、どう家の中に運び入れるかという壁にぶつかりました。結局、お隣のお家の庭から、私たちの庭に運び入れ、庭からキッチンに通すルートになったのです。隣家の方に協力いただき、阿部建設やキッチンメーカーにもいろいろと検討いただいた大仕事になりました。
奥様 こうしてできあがった住まいはすべて素晴らしいと感じています。外観は、窓の配置もサイズ感もうまく計算され、どこから眺めてもきれいで。特に玄関のスリット窓は、外から中を見ても、室内から外を見ても美しいと思います。家の中は玄関、シューズクローク、パントリー、キッチンとつながっていて使い勝手がよく、扉を閉めてしまえば冷蔵庫や電子レンジも隠せるのでスッキリと片付きますね。
また、素材を大切にし、内壁には薩摩中霧島壁(※2)を選びました。初めは漆喰も検討していましたが、落ち着いた色合いの“伊礼色”のこの壁に決めたんです。床や建具一つひとつに、木の質感を感じられるところも気に入っています。
ご主人 外壁はそとん壁(※3)です。予算面から一部を異なる素材にしようかとも思いましたが、取り入れるなら徹底しようとがんばりました。
奥様 「雰囲気いいね」っていろいろな方がいってくれるんですよ。外も内もすごく素材の趣を感じますし、これから歳月を重ねても経年変化が味わいになっていけばいいなと思っています。
ご主人 造作洗面台の天板も素材を検討し、石の質感を感じられるテラゾーを選びました。以前、公共施設で使われていたのを見て、いいなと思っていたんです。重厚感があって雰囲気がいいですし、水への強さも特徴です。
ほかに、やはり庭も気に入っています。当初は低い塀を設けるのかなと思っていたら、3メートルのそとん壁で囲み、外からの視線を遮ったので、プライベート感があって落ち着いて過ごせます。子どもが公園に行かなくても、気軽に庭で遊べるのもいいですね。また、庭に面したリビングはカーテンを取り付けなくても気にならず、陽光の明るさを満喫できます。
奥様 私はたっぷりの収納力もうれしいです。パントリーは、階段下もうまく活用して広くつくってくれました。通り抜けができて便利ですし、ここにたくさんしまえるので家の中は整然ときれいに見えていいですね。
ご主人 今後は、お気に入りの庭にテーブルを出してのんびりビールを飲んだりしたいですね。
奥様 私はBBQをしたいかな。これまでは子どもが小さいから控えていたのですが、自宅の庭で家族だったり友人と楽しめたらいいなと思います。
入居後まだ冬を経験していないので、次シーズンには全館空調の良さを体感したいですね。3月の肌寒い頃は、温度が均等に保たれて暖かかったですから、寒い季節も快適に過ごせるのではないかと期待しています。
※1 大蔵町の家 「建て込んだ住宅地のなかでも、心地よくゆたかに暮らせる住まいを」をテーマに、阿部建設が建築家・伊礼智氏とともに考えた小さな木の家のモデルハウス。 ※2 薩摩中霧島壁 南九州・中霧島地区で採れる火山噴出物「シラス」を主原料とした自然素材です。調湿性と消臭性に優れ、健康的な室内環境に貢献します。 ※3 そとん壁 シラスからできている外壁材。防水性や耐久性に優れ、退色や劣化が起きにくいことが特徴。自然素材独特の風合いと美しさがあります。