斜めの配置で眺望を叶えた平屋の家S様邸

理想的なロケーションで、思い描いた平屋をかたちに。
アール壁、タイル、大谷石など
細部まで美しい住まいには至福の時間が流れます。

直感で選択。職人の手しごとや自由度の高さが魅力

ご主人 結婚して家をつくるのは自然な流れでした。夫婦ふたりとも建築関連の仕事をしていることもあり、もともと家への興味が強かったんです。

奥様 子どもの頃から家づくりに憧れがあって、家についていろいろ調べるのが趣味でした。小学生の時は住宅のチラシを見て「私ならこうする」と間取り図を描いたりして、それをファイリングしていましたね。自分も早く家を建てたいなという気持ちがずっとありました。

ご主人 家をつくるなら自然の中…出身県の山が見えるところがいいと思っていました。地元に近い自然環境が落ち着きますからね。そこに平屋をつくりたいと考えていました。

奥様 平屋を希望したのは、外観のかっこよさと生活のしやすさからです。実家が平屋だったのでワンフロアに慣れていて、階段の上り下りが必要な生活をイメージできなくて…。

ご主人 土地の広さは必要ですが、ふたりとも当初からできるなら平屋と思っていました。

奥様 以前からハウスメーカーの情報をかなり見ていた中、インスタグラムで阿部建設を見つけ、「ここだ!」と直感したんです。家づくりを始めてほかのもう一社も見学会には行きましたが、真剣に検討したのは阿部建設だけ。モデルハウス「手しごとの家」が持つ温かみに加え、和紙の使い方や左官技術の確かさにふれて、こうした職人のいる会社なら安心と感じたからです。わが家には漆喰か土壁を取り入れたいと思っていたので、職人による塗り壁や丁寧な仕上げが印象に残りました。
また、私たちは家へのこだわりが強い方だと思っていて、阿部建設の「なんでも言ってください」というスタンスも決め手の一つです。ここならあらゆる要望を聞いてもらえそうですし、仕様がまったく決められていない自由度の高さも魅力に感じました。

思いきって決断。1年をかけて出合った希望の土地

奥様 同時進行していた土地探しでは、自然を眺望でき、庭を確保できることを重視しました。通勤時はずっとサイトを見て探していたのですが、住むのに適した土地はなかなか出てこなくて困りましたね。そんなある時、急に条件に合いそうな土地情報が掲載されたんです。早くしないと売れてしまう!と焦りながら、夫とすぐに不動産屋さんへ出掛けました。

ご主人 そこでは、僕たちが平屋を希望していることを聞くと、販売予定だった2区画分を勧められました。確かに平屋は建てられますが、かなり予算オーバーです。阿部建設(中部地所)からは「もう少し考えてはどうでしょう」という提案も受けました。だけどやはりこの土地がいいという結論を出したんです。

奥様 学校、スーパー、病院などへの距離もほどよく、それまでとあまり変わらない生活ができそうなことも、この土地を選んだ理由です。結局、探し始めてから1年ぐらいかかりましたね。

土地の広さを活かした建物の配置に。室内は広く見せる工夫を

奥様 家づくりで初めに考えたのが、建物の形と敷地内での配置です。私はブーメランのような「へ」の字型の建物を考えました。この形にすることで、山のパノラマ眺望を楽しめるようにしたかったんです。ただ、ブーメラン型にすると建築費が高価になってしまうとのことでした。

ご主人 担当の岡田さんはいろいろなプランを提案してくれましたね。結果的に、「敷地に対して建物を45度ぐらいに振って、斜めの一本にしてはどうですか?」というアイデアに、「いいですね!」と決めました。あまり見ない配置なので、本当に良いのかと確認してくれましたが、僕たちとしてはまったく問題ありませんでした。土地の広さがあるからこそできるし、駐車場も確保できます。こうして、敷地を斜めに使い、眺望の良い方向に向けて四角い建物をつくることにしました。

奥様 周りの家は道路に平行に建っていますが、ここは角地だからどんな配置でも馴染むだろうと思いましたし。
間取りの要望としては、「アール(曲線・曲面)の壁をどこかに使う」「玄関、パントリー、キッチンは連続させる」「キッチンは壁付きで、調理しながら外を見られるようにする」「アイランドの作業カウンターを設ける」などを挙げました。
また、私は「廊下」が好きで、人気のある回遊動線の快適さも感じる一方で、あえて廊下を設けたいと思っていました。居室が密集せず、“余白”を感じられますし、廊下の壁に太陽の光が当たる光景を楽しむこともできます。岡田さんは、私が描いた間取り図から“廊下好き”を察してくれたのか、廊下の突き当たりに縦長の大きなフィックス窓をレイアウト。その対面になるダイニングにも大きな窓を設けるアイデアを出してくれました。視線が抜け、さらに廊下の眺めも楽しめるようにという意図からだと思います。

ご主人 土地に費用をかけた分、建物の坪数は理想より若干少なくなったので、スペースを「広く見せる工夫」も提案してくれました。たとえば、玄関から入ったところに何もない空間をあえてつくったり。

奥様 リビング・ダイニングの天井は勾配に、リビングはダウンフロアにして空間を広げ、廊下は天井高3メートルと高くする工夫もしてくれました。

ご主人 このほか、トイレと寝室の壁・天井は僕たちで塗る方法もあると提案されました。

奥様 最初はプロにお願いしようとも思いましたが、DIYによく使われるウォーターペイントというものを教えてもらってふたりで塗りましたね。予算を抑えるとともに、家づくりの思い出も兼ねて。ほかに、DIYでリビング・ダイニングの柱にラタンの皮紐を巻きました。

こだわりの素材や仕様を織り込んだ、唯一無二の家に

奥様 希望していたアール壁は、箱のような別空間に見せたくて、リビングとパントリーの間仕切り壁のように設けました。壁のリビング側には、好みの細長い白いタイルを貼っています。予算上は反対側に貼る方が良かったのですが、リビングからタイルが見えることは譲れないポイントでした。
もう一つ、どこかに取り入れたかったのが大谷石です。これはフランク・ロイド・ライト(アメリカの建築家で近代建築の巨匠)が旧帝国ホテルに採用し、数々の建築家も自邸に用いている素材なんです。アプローチや土間に活用するケースもありますが、わが家では玄関入ってすぐのカウンターに使いました。
キッチンについては、窓から外を眺めながら料理するのが夢で、景観を損ねないようFIX窓を選びました。ただ、換気も不可欠なので、一部だけ開閉できる造りにしています。収納を兼ね備えたアイランドの作業カウンターは造作で設けました。

ご主人 飼っている2匹の猫のために、リビング・ダイニングにキャットステップやキャットウォークなども設置してもらいました。うまく空間に溶け込み、そこまで“猫感”がないというかインテリアとして馴染んでいます。

奥様 壁や収納棚の下に組み込む形で、猫の“ごはんどころ”もつくってもらっています。それぞれごはん、水飲み、トイレができるよう2箇所あります。

特別な時間が生まれる、早起きしたくなる空間

ご主人 家のどこも思い入れがありますが、中でもやはりリビングが気に入っていますね。大きな窓から望む景色が好きで、心身ともにリラックスできます。

奥様 私もお気に入りはリビング・ダイニングです。秋は朝6時半頃の光がすごくきれい!山から朝日が上ってくると空間がオレンジ色に染まるんです。棚の影は真横に伸びてきて…。この空間での朝ごはんが楽しみで、休日も早起きして一人でモーニングをしているんですよ。新しい家で暮らし始めて早起きになりましたね。

ご主人 家でできることがいっぱいあるので、今後はそれを満喫したいと思っています。BBQとかサウナとかアウトドアでの楽しみを自宅でも取り入れていきたいです。外出するより、家を楽しみたいですね。
ほかに実は、玄関入ってすぐに2畳弱の“趣味部屋”をつくってもらっています。まだ手付かずですが、趣味の苔を集めたテラリウムを整えていくつもりです。そしてゆくゆくは、エビの水槽のあるアクアリウムに。陸から海へと展開するのが目標です。

奥様 今はなるべくモノを置かないよう心がけていますが、これから子どもが生まれたら徐々におもちゃが増えていくと思うので、どうしたらオシャレに見えるかを工夫していきたいと思います。
楽しみは、子どもの成長とそれに合わせて子ども部屋を考えていくことです。間仕切りを設けるのか、本棚で仕切るのか。楽しみながら家を変化させていけそうです。

奥様 家づくりを振り返ってみると、「好き」を諦めなくて良かったと実感しています。ご家族によっていろいろな希望や制約があると思いますが、「好き」はなるべく残せるようにするのも大切な気がします。それを叶えた家は愛情も愛着もより一層深まりそうですよね。

ご主人 僕たちはふたりとも仕事柄もあって重視するのが「家」です。だから、ここに費用をかける選択ができたし、その分がんばろうと思えます。それぞれの価値観に合わせて重点を決めることが大切なんでしょうね。