前編に続き、後編は阿部建設でご提案している【空気式床暖房】の設備についてご紹介します。
パッシブ冷暖
一般的なエアコンを使い、床下空間に風を送って足元からじんわりと暖かくする床暖房システムです。エアコンは暖房設備の中で最も効率がよく、省エネ性に優れています。しかし、通常の壁掛エアコンで暖房する場合、温風が不快に感じたり顔がのぼせたり、部屋ごとに機器の設置が必要で操作が面倒な場合もあります。このパッシブ冷暖は、直接風が当たらないので不快な暖かさも感じず、1台で家全体を床暖房できるので光熱費の節約にも繋がります。阿部建設で最も多くの方に採用されているシステムです。
また、オプション設定となりますが、冷房機能もが利用可能です。「冷えた空気は下に下がる」という性質を利用したもので、ファンで持ち上げた冷たい空気を、部屋の上部から下ろします。各部屋で運転する必要が無いので、家全体が同じ室温となり快適な空間に。室外機や冷媒管が外観の美観を損なう事もなく、運転にかかるコストも削減できます。
Passiv Aircon
パッシブエアコンは全館空調専用機を使って、40坪前後の住宅までであれば小さな能力のエアコン1台で住宅全館を冷暖房できるシステムです。小屋裏に本体を設置し、ダクトで冷暖房空気を各部屋に運びます。冬は床下及び天井から暖房を、夏は天井から冷房して、年間を通して室温を快適に保ちます。省エネ性に優れており、ダクト配管により居住スペースを圧迫することなく、快適性を手に入れることができます。またオプションで、熱ロスを低減する全熱交換換気システムや全館空気清浄ユニットと組み合わせることも可能です。エアコン1台ということは室外機も1台だけ。外の見栄えもスッキリと納まり、機器の置き場所にも困りません。
OMX
全館冷暖房、熱交換換気、給湯、太陽光発電がセットになった機器です。自然エネルギーである太陽熱も利用した暖房や排熱を利用した給湯も行える、“パッシブエネルギー”と“アクティブエネルギー”が融合されたフラッグシップと呼べる機器になります。導入費用は一見高額に感じますが、全館冷暖房と太陽光発電を導入する場合は、ランニングコストも含めるととてもお得なため、一番おすすめしたいシステムです。
このように、空気式床暖房と言っても種類は様々。そしてたくさんのメーカーから同様のシステムが販売されています。その中でも、弊社では以下の点を踏まえて導入機器を決定しています。
① 快適性が高いこと
数字で表す事の出来ない居住者の快適性はとても重要です。ご紹介した3つの設備はメーカー側で一件一件シミュレーションを行いますので、確実に各部屋の室温差が無くなります。似たようなシステムは世の中にたくさんありますが、計算をせずに経験値やルールブックに則って設置箇所を決める場合もあります。それらを否定する訳ではありませんが、私たちは数値で裏付けされた“確かな快適性能“をお客さまにご提案したいと考えています。ですので、モデルハウスやオーナー様宅の実際のデータを収集し検証をしながら、性能に自信が持てるシステムだけを選定しています。
② コストパフォーマンスが高いこと
システムを導入するにあたり、イニシャルコスト(導入費用)だけで判断するのではなく、ランニングコストも重要な要素として考えなければいけません。長期的視点から通常の空調機器や暖房機器と比較した時に、メンテナンス費用や光熱費におけるお客様メリットが大きいのが、この【空気式床暖房】システムです。「費用対効果が大きい」=「イニシャルコスト+ランニングコストを抑えた上で実現する快適な温熱環境」です。ご紹介した3つのシステムは、そのどれも他社と比べてお得な部分が大きくおすすめしています。特にランニングコストは光熱費だけではなく維持・修繕などのメンテナンスまで含めて検討が必要です。
③ 将来的な故障やメンテナンス性にも優れていること
システムを導入する際に心配なのは、将来的な故障やコスト面です。エアコンもそうですが、全館空調システムも家電と同じで壊れるリスクや掃除などのメンテナンスは必要です。その際に、部品交換を前提とした設計のシステムであれば故障時に大きな費用は掛かりにくくなります。一方で部品交換ができず、ASSY交換という壊れていない部品も含めてユニット交換せざるを得ないシステムもあり、故障時には大きな費用が発生する可能性があります。弊社では設置後のメンテナンス性も含めてお客様に不都合が少ないシステムを導入しています。
大きなポイントで言うと以上の3つになります。
今回挙げた空気式床暖房設備以外にも、さまざまな全館空調システムをご紹介できます。(例えば、既住のモデルハウス「新栄の家」では、エアボレーを採用しています)フルオーダーだからこそ、お客さまに合う全館空調システム、空気式床暖房も変わるので、複数のシステムをご提案できるようにしています。そして、そのどれも『温熱環境のバリアフリー』に則った弊社の考え方にマッチしたものです。
デザインや間取りは「万人のバリアフリー」が整った上で成りたつものだと考えます。住まいの基本『温熱環境のバリアフリー』。気になる点はお気軽にご相談ください。
業務企画室 室長 阿部