阿部建設の住まいに時々登場する組子。
組子(組子細工)は、薄く細く削り出した綺麗な木片に溝や穴を加工して、1本1本幾何学模様に組みつけていく伝統木工技術です。
接着剤を用いることもありますが、ノミや鉋(カンナ)で調整しながら釘を使わない繊細な技術が特徴で、見る人を魅了します。
組み方には「麻の葉」や「籠目」「青海波」など様々な種類があり、古来から健康や繁栄、長寿といった吉祥文様から取り入れられてきたようです。
住宅で組子を目にする機会も少なくなりましたが、建具や欄間に嵌め込まれている姿をご覧になったことがあるのではないでしょうか。
欄間では「千本格子」が用いられることもよくありました。
ある物件で「大型の組子」を間仕切り壁の一部に採用できないかと調べていたとき、曲面状に組子を制作している木工所があることを知り、とある地方の山奥にある作業場まで見学に行ってきました。

大きな筒状に組み上げられた組子や、立体的な造形の組子も製作されており、伝統木工技術を継承しつつ新しい技術に挑む姿は素晴らしいものでした。

実際に作業場で組子を制作しているのは年配の職人さんかと思いきや、かなり若い職人さんと技能実習生の方たち。
誰かに指導を受けながらというより、自主的に考えて製作に取り組んでいる真剣な姿に頼もしさと驚きを感じました。

作業場の隣にはカフェが併設されていて、店内には曲面の組子に照明器具を仕込んだ素敵な作例も。
コースターも組子といった具合で、実際に手にしながら実物を見ることもできました。



組子を用いたテーブルランプやペンダントライトも製作されており、組子が身近な存在に感じられればとても良いことだと思います。
若い職人さんたちが真剣に伝統技術に取り組み継承していく姿は、とても大切ですね。
設計 西村