阿部建設では、自然エネルギーを活かす家づくりのひとつとして「OMソーラー」を取り入れてきました。今回は、そのOMソーラーをより深く学ぶため「地球のたまご」で行われたOM基本講習会に参加してきました。
OMソーラーの仕組みはもちろん、製品の特徴やこれまでの歩みなどに触れ、これからの家づくりにもつながる新たな発見がありました。

「地球のたまご」とは?
まず気になるのは、「地球のたまご」という名前。
これは、2004年5月に静岡県・浜名湖畔に竣工した、OMソーラー株式会社の社屋の名称です。
OMソーラーの拠点として“持続可能な循環型社会”を目指し、その想いをかたちにするために計画されました。
研究・開発や情報発信の場となっており、『ここからさまざまな技術が生まれ、育っていってほしい』という願いを込めて、「地球のたまご」と名付けられました。

そもそも「OMソーラー」ってなんだろう?
「ソーラー」という言葉を聞くと、多くの方は「太陽光発電」を想像するかもしれません。
しかし、OMソーラーは、太陽の光を電気に変えるのではなく、太陽の「熱」を利用して住まいの温熱環境を整える仕組みです。
屋根で集めた太陽熱を利用して室内を暖めたり、お湯をつくったりと、自然の力を活かした心地よい暮らしを目指します。

実は、OMソーラーという名前には、ちょっと面白い由来があります。
もともとは、OMソーラーの考案者である建築家・奥村昭雄さんの「O」と、最初にその家を建てた工務店の頭文字「M」からOMソーラーと名付けられました。その後、奥村さんの希望で「O」は「おもしろい」、「M」は「もったいない」という意味に変わったそうです。
自然の力を活かし、エネルギーを無駄なく使う。
そんな考え方が、名前にも表れているように感じます。

OMソーラーが展開する製品・システム
今回の講習会では、OMソーラーのさまざまな製品・システムについても学びました。
ここでは代表的なものを簡単にご紹介します。
1. OMソーラー
太陽熱を活用する基本となるシステムです。
①暖房:冬は屋根で太陽エネルギーを集め、その熱で温められた空気を床下に送り、足元から家全体をじんわりと暖めます。
②夏の排熱:夏は集めた熱を屋外へ排出し、室内に熱がこもるのを抑えます。晴れた夏の夜には、放射冷却を利用して涼しい外気を室内に取り込みます。
③給湯:太陽の熱を利用して、お湯をつくります。(貯湯槽の容量300L)
④換気:屋根から新鮮な外気を取り込み、暖房と同時に換気も行います。


2. OMX(オーエムエックス)
太陽熱とヒートポンプを組み合わせ、冷房・暖房・給湯・熱交換換気を一体化したシステム。太陽のエネルギーを効率よく活用します。
①暖房:太陽熱とヒートポンプを利用して、家全体を暖めます。(雨の日や夜間など、必要に応じてヒートポンプ暖房へ自動で切り替わります。)
②冷房と排熱利用の給湯:夏はヒートポンプを利用して家全体を冷房。冷房時に室外機から発生する排熱で給湯も可能です。
③熱交換換気:春や秋など冷暖房が不要な季節や、室温が快適に保たれているときは、熱交換換気や自然エネルギーを活用した運転に切り替わり、消費電力を抑えながら換気を行います。
④太陽光発電との組み合わせ:太陽光発電と組み合わせることで、住まいで使うエネルギーの自給率向上につなげます。


3. パッシブエアコン
小屋裏に機器を設置し、ダクトを通じて1台で家全体を冷暖房する全館空調システムです。
各部屋に壁掛けエアコンをつけないため、室内がすっきりと収まり、お手入れするフィルターも1台分で済みます。
冬はエアコンで温めた空気をダクトで床下に送り、床の吹き出し口からじんわりと家全体を暖めます。
夏は天井に設けた吹き出し口から冷気を送り、冷たい空気がゆっくりと下へ移動することで、家全体を快適な温度に保ちます。


「設備だけに頼らない」快適性は家全体で考える
大切なのは、性能の良い設備を採用すれば、「それだけで住まいが快適になるわけではない」ということです。
例えば、太陽の熱をどのように取り込み、室内へ届けるのか。
熱が逃げにくい住まいにするにはどうすればよいのか。
設備を単独で考えるのではなく、断熱性能や気密性能、間取りなど、設計や施工と一体で考え、家全体で快適性をつくる必要があることを改めて感じました。

講習会では、OMソーラーの歩みや製品の歴史を知るだけでなく、工務店同士で知識や意見を交換する機会もありました。
各社がより良い家づくりを目指して試行錯誤する一方で、OMソーラーさんも、これまでの経験を活かしながら、さらに快適に、効率よく自然エネルギーを活用するための新しい技術開発に取り組まれています。
立場は違っても、それぞれが住まいの快適性を高めるために前へ進んでいることを感じました。
設計 加地