狭小地で豊かに暮らす家づくり <後編>2025.01.15

前編のブログでは、狭小地での家づくりの「メリット」「デメリット」をご紹介しました。
今回は、それらの特徴をふまえたうえで狭小地の【設計ポイント】を解説していきます。
 

1.無理なく、選択肢を広げてみる

まずは大前提として、コンパクトな敷地であればあるほど、通常の設計では考えないようなところまで、無駄がないよう検討を重ねます。
「お客様のご要望は全部取り入れたい!」しかし、限りある広さの中でどうしても難しいケースもあります。
たとえば、駐車スペース。最低1台分のスペースを確保できるにこしたことはありませんが、それなりの広さが必要になります。まずは家づくりの優先順位を決めて、近隣の貸し駐車場の利用を検討したり、車がなくても生活に不便がないエリアであれば、駐車場なしという選択肢もひとつ。都市部ではカーシェアサービスも充実していますので、公共の交通手段を上手く利用しながら、無理のない範囲で“車を所有しない暮らし方”も視野に入れて検討します。
 

2.制限の緩和を活用する
狭小地では、建ぺい率(敷地に対する建物面積の割合)と容積率(敷地に対する延床面積の割合)の制限が、プランニングに大きく影響します。これらは用途地域ごとに定められた割合があり、基本的にこれを越えて建築することはできません。しかし特定の条件が揃う場合において、通常の建ぺい率の割合より+1/10、+2/10といった制限の緩和が適用される場合があります。これにより、1階に1部屋分余剰スペースが生まれた!なんてケースもあるので、こうした緩和を最大限活用してプランニングすることも大切です。そのあたりは専門的な部分になりますので、ぜひプロにお任せください。
 

3.水まわり設備をまとめる
狭小地では敷地を有効活用するために、建物をできるだけ敷地境界に寄せて設計することがあります。一般的には敷地境界線沿いにブロックを積むケースが多いので、民法で定められている境界線から外壁まで50㎝の離隔を確保した場合、ブロックと建物基礎までの配管スペースはかなり狭くなります。よって、“配管をいかにシンプルに短くするか”、ゾーニングの段階で、雨水配管(雨といから側溝へ放流する配管)やキッチンやトイレなど設備配管ルートを十分に検討しておく必要があります。水まわりがあちらこちらに点在していれば、当然配管ルートは複雑になり配管も長くなります。水まわり設備はできる限り1箇所にまとめるなど考慮する一方で、設備配管と雨水配管のルートを想定しながら、道路側の面にはそうした配管が露出しないように計画することも重要です。
 

4.窓の位置や形を熟考する
住宅密集地では、道路側の一面以外、窓を設けても隣地の建物しか見えない…というケースも度々見られます。こうした面には浴室・トイレ・収納スペースなど、窓を設けなくても良い空間を配置するのも工夫のひとつです。階段スペースを吹抜けと組み合わせて光を1階まで落としたり、高窓や天窓を利用し、隣家の窓と視線が交錯しないようにしたり。周辺環境を読み解き、窓の位置や形を考慮しながら室内を明るく心地良い空間に設えていきます。限られたスペースだからこそ、外観からは想像できないような創造的で豊かな内部空間をつくることができます。
 

5.シンプルなかたちでコストを削減
狭小地ではより広い面積を確保するために、建物を部分的に敷地形状に合わせたかたちで設計するというケースがあります。しかし、あまりにも複雑な形状は施工費が増加してしまう傾向にあり、せっかくの“狭小地のコストメリット”が、かえって割高になってしまう可能性も…。できるかぎりシンプルで機能的なかたちになるよう設計します。また、空地が少ないがゆえに建物のメンテナンスが難しい場合があるため、耐久性の高い材料を選定することも大切なポイントです。
 

狭小地のプランニングは、法規制や土地の制約を考慮しつつ、住まいの快適性を最大限に引き出すことが重要です。
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設計 佐藤

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