下瀬美術館2025.02.19

年に一度、建築好きな仲間が集まって「ちょっと遠くて一人では気軽に行けない場所にあるけれど、気になる建築を見に行きたい!」ということで、建築ツアーを行なっています。
2023年7月、夏の暑い盛り、数人で私の車に乗ってほぼノンストップで広島まで!あと数キロで山口県岩国市という場所に、今回ご紹介する下瀬美術館はあります。
 
広島県大竹市にある下瀬美術館は、この年の3月に開館したばかり。設計は建築家の坂茂氏です。2024年、国連教育科学文化機関(ユネスコ)本部で創設されたベルサイユ賞の「Museums」(美術館・博物館)のカテゴリーで「世界で最も美しい美術館」として選出され、最優秀賞のベルサイユ賞を受賞しました。世界各国から素晴らしい美術館がノミネートされていますが、この年、美術館のカテゴリーで日本からノミネートされたのはこの下瀬美術館だけでした。詳しくはこちらをご覧ください。
 
現地に到着してまず目に映るのは、全面ミラーガラスに、特徴ある印象的なロゴ。中に入る前から期待に胸が膨らむ佇まいです。
 

そして一歩足を踏み入れると、伸びやかな放射状の梁が複雑に重なり合って大きな空間を支え、ほぼ全面から外光を最大限に取り入れながら外壁面には柱や壁を感じさせないという、非常に開放的な大空間のエントランスが出迎えてくれます。この放射状の梁をまじまじと見つめ、どうやって組んだんだろう・・・と想像を巡らせます。
 

 

ほかにも、水面に浮かぶ8個の可動式展示室があります。季節や展示内容によって展示室のレイアウトが変わり、訪れる度に異なる風景を楽しめるようです。
 

 

 

建物としての特徴もさることながら、下瀬美術館はその「ロゴ」にも大きな特徴を感じます。
ロゴをデザインしたのはグラフィックデザイナーの原研哉氏。特徴的な建物に特徴的なロゴが組み合わさって下瀬美術館を成しています。
 

下瀬美術館は、建築資材でおなじみの丸井産業株式会社の代表取締役・下瀬ゆみ子氏によって設立されました。先代社長から受け継いだコレクションを保存・展示し、本物を間近に見られ、撮影も自由にできる貴重な施設です。「アートの中でアートを観る」というテーマに相応しい美術館であり、建物と展示品の両方を楽しめます。
 

 

 

さて、設計者の坂茂氏といえば『紙管』が有名ですね。開館間もない時期だったため、シリアルナンバー付きの紙管のカットリングが数量限定で販売されていましたので記念に。
 

下瀬美術館をあとにして、大和ミュージアムと、本当のお目当ての尾道にある建物(飲食店)を見たお話は、また次の機会に…。
 
 

設計 西村

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