先日、家族で北海道旅行に行ってきました。
旅行をしていると、その土地にある有名建築を訪ねたくなるのが建築好きの性。
今回は、建築家・安藤忠雄が設計した「北菓楼 札幌本館」と、アントニン・レーモンド設計がした「札幌聖ミカエル教会」に立ち寄りました。
家族にとっては少しマニアックな予定かもしれませんが(笑)、快く付き合ってくれました。

北菓楼 札幌本館
北菓楼 札幌本館は、旧北海道庁立図書館をリノベーションした建物です。
外観は重厚なレンガ造。歴史ある建物はそのままに、内部は安藤忠雄らしい打放しコンクリートの空間が広がっています。

古いレンガと新しいコンクリート。
異なる素材ですが不思議と調和していて、歴史を感じさせながらもモダンな雰囲気が漂います。


特に印象的だったのは、天井のクロスヴォールトです。
南側の窓から差し込む光が曲面の天井に反射し、重厚感のあるレンガ素材とクロスヴォールトのやわらかな曲線の対比が、動きのある心地よい空間を生み出しています。

2階のカフェスペースには、東西両側の壁いっぱいに、天井まで届く大きな本棚が設けられています。
かつてこの建物が図書館として使われていた歴史を感じさせます。

札幌聖ミカエル教会
次に訪れたのは、アントニン・レーモンド設計の札幌聖ミカエル教会。
街中から少し離れた住宅街の中に、ひっそりと建っていました。
深い勾配屋根にレンガと木組みを組み合わせた外観は、どこかあたたかみが感じられます。

中に入ると、存在感が際立つ木造トラスが目に飛び込んできます。
小屋組の木材にはとど松の丸太を使い、レンガ、砂利などはすべて道産の素材を使っているそうです。

正面のステンドガラスから差し込む光が天井や構造体を照らし、空間全体を穏やかな明るさで包み込みます。
素材の持つ素朴さと構造の美しさ、そこに自然光が寄り添う静かで落ち着きのある空間は、普遍的な美を体現しているようでした。

現地に赴き、実際に空間に身を置くと、写真や図面ではわからない“空気感”や“居心地”がみえてきます。
光の入り方、素材の質感、人の動き———
その一つひとつが空間をかたちづくっていることを改めて実感し、こうした体験の積み重ねこそが、自分の中に新たな視点や発想を育ててくれるように思います。
これからも、旅先や日常の中でさまざまな建築を見て、感じて、学びながら、自分の“提案の引き出し”を増やしていきたいと思います。
設計 岡田