こんにちは!設計の磯村です。
前回のブログでは、I様の着工から上棟までの様子をご紹介しました。今回はその続き、完成までの様子をレポートします!
上棟を終えた後、室内は木工事、外まわりは防水工事を進めていきます。
こちらは壁に石膏ボードを貼り付けるための下地を施工し、扉のレール、枠などを設置した状態の写真です。この段階でも、阿部建設ならではの家づくりのポイントが見えてきます。どこか分かりますか?
多くのハウスメーカーではフローリングや建具などは建材メーカーの工場でつくった、所謂“既製品”というものを使用していますが、阿部建設では、その家ごとに合わせた無垢材の建具枠などをよく使用しています。そのため、自社の工場で大工さんが加工し現場へ運び取り付けています。寸法もかたちもさまざま。職人さんの丁寧な仕事がこんなところからもうかがえます。
さて、木工事と同時進行で進むのは、建物を防水紙と呼ばれる防水材で包んでいく作業です。下の写真は、防水紙の上に胴縁(ドウブチ)と呼ばれる木材を設置した状態です。外壁全面に一定間隔で取り付けるこちらの木材は、【通気工法】においてとても重要な役割を果たします。
【通気工法】とは、建物の構造材と仕上げ材の間に通気層を設けて、空気を循環させ建物を長持ちさせるための工法です。胴縁を取り付けるのは、外装材と構造材の間に通気スペースをつくるためなんです。さて、ここで注意したいポイントは、「しっかりと空気が循環できるような設置がされているか」ですね。胴縁同士がぶつかっていたり、空気が通る道(入口・出口)が確保できていないなど、空気の循環がうまくできない状態では結露が発生し木材が腐る原因に。その結果、建物の寿命を短くさせてしまいます。
その後はモルタルを塗るための下地材「ラス」を胴縁に取り付けます。
建物から飛び出した屋根を「軒(ノキ)」と呼び、その裏側を「軒裏(ノキウラ)」と呼びます。
I様邸では軒裏に自社の工場で塗装した木材を貼っています。建材メーカーが日々研究を重ねて本物の木材に近い見た目の工業製品つくっておりますが、やはり本物にしか出せない味わい深さがありますね。
上の写真に写っている無塗装の木材の切り口を「木口(コグチ)」と呼びます。そこに予め入れてある「背割れ」によって木材の伸縮を防ぎ、大きなヒビの発生を防いでいます。(私がよく行く温泉の露天風呂の建物は背割れがされてないからかバキバキにヒビが入っています。笑)
その後、モルタルを塗り仕上げのジョリパットを施工し、足場を解体した姿がこちらです。シックな色合いとシンプルなデザインが美しいですね!
さて、室内はどうでしょうか?石膏ボードに仕上げ材を施工し、クリーニングまで進めた写真がこちらになります。
細かいので省きましたが、大工さんや内装屋さん以外にもキッチン屋さん、電気屋さん、水道屋さん、サッシ屋さんと、こちらの写真の空間ができあがるまでに6人もの職人さんが作業し完成しています。たくさんの職人さん達と関わる仕上げの工程は管理する側も実は結構大変ですが、日に日に完成に近づく現場を見ていると、とてもやりがいを感じます。
また、この完成間近の時期は、完工・お引き渡しまでの残り日数と睨めっこです。少しのミスも許されませんので、正直に言ってしまうと悪夢にうなされることも多々あります(笑)でも、この辛さがあるからこそ、お客様の笑顔からしか得られない栄養素は確かに存在しています。
新緑がまぶしい季節に着工したI様邸ですが、無事完工しお引き渡しを迎える頃には、現場の前の樹木も色鮮やかな紅葉が美しい季節になっていました。
入社してはじめて現場を担当しましたが、阿部建設は自然由来を大切にしつつ、良いものは取り入れながら、お客様にあわせた快適で心地良い家づくりをしていると感じました。これからもっともっと知識を身につけて、一端の阿部建設マンにならねば!と思いました。
I様はとてもセンスが良いお客様で、たくさんの発見やアイデアをいただきました。至らぬ所などもあったかと思いますが、I様、職人さん、阿部建設とみんなが切磋琢磨して完成したお住まいは思い入れもひとしおです。ぜひ末永く、笑顔溢れる暮らしであることを願っています。
設計 磯村