奥様 成人してから夫婦ともにマンション住まいだったこともあり、土地に根を張って自分たちらしい家で暮らしたいなと、子どもを授かったときに家づくりを始めました。憧れていたのは、素材感や質感を大切にした木の家。二人ともキャンプが好きで、自然豊かな場所によく出かけ、木には愛着があったんです。
ご主人 独特の温もりや香りは、やはり木の家でないと感じられないと思いました。
奥様 家は無駄のないシンプルなデザインで、3人家族にちょうどよい広さ、そして決まりきった形式ではなく、遊び心も取り入れたいという希望がありました。例えば、居間ならくつろぐといった一般的な過ごし方に縛られず、好きな場所で好きなことをできたらいいなって。また、緑を感じ、野菜を育てられる庭もほしいと思っていました。
ご主人 家づくりは二人で話し合いつつも基本的には妻に任せ、僕はキッチンとパントリーに集中。料理の仕事をしていたし、趣味が料理なので、これだけは譲れないなと(笑)。暮らしの中心にキッチンがあって、その隣には食品をストックするだけでなく、ひと息ついたり、こもったりできるパントリーがあればと思ったのです。
奥様 全体のイメージや好きなテイストは共通していたので、細かな部分を話し合って決めていった感じですね。
奥様 阿部建設は本社の前をたびたび通っていて、以前から興味があったんです。ときには、あやしいぐらいショールームを覗いたり(笑)。子どもが生まれたタイミングで見学に行き、なかでもフルオーダーメイドのモデルハウス「手しごとの家」を体感して、ほぼ即決しました。インターネットや雑誌で情報は集めましたが、結局ほかはどこも見学しませんでしたね。ここなら、今の感覚に合ったデザインを取り入れた木の家で、私たちの好みをカタチにしてくれそうと思ったからです。お話を聞き、職人さんが丁寧につくっていたり、一年間の建築棟数を限っていたりといった姿勢にも共感しました。
奥様 まず阿部建設の「土地探しサポート」を活用して、家を建てる場所を探しました。通勤などの利便性や子どもの教育環境といった条件で探したのですが、なかなか出合えないまま1年ぐらい経過。探す範囲を広げたところ、まったく想定していなかったエリアなのに、ここしかないと思うほどの場所が見つかりました。
ご主人 僕たちは本が好きで子どもも絵本を読むので、この市の図書館に興味を持ったんです。住むまちにお気に入りの場所があることも大切だと思いました。
奥様 大きな公園があり、キャンプ場のある岐阜や滋賀などにアクセスしやすいのもポイントでした。ずっと利便性に焦点を当てていましたが、それだけでは選びにくく、最終的に住みたいまちかどうかが決め手になりましたね。
奥様 次に時間をかけたのは「間取り」です。図面を起こしてもらって、こういうふうにしたいという要望を伝え、また提案してくれて、という繰り返しで、形になるまでの道のりは長かったですね。当初は雑誌とかSNSなどで様々な事例を見ると想像が膨らんで、情報に振り回されたところもありました。
ご主人 無駄がなく快適な家を目指しつつ、欲が出てきて、和室もほしいなとか。結果的に、やりたいことと現実を照らし合わせた上で、自分たちが本当に望むものを決め、それ以外は削っていく。その工程に力を注ぎました。情報をシャットアウトし、原点に立ち返りました。
奥様 阿部建設からの提案で印象に残っているのは、「2階のインナーデッキ」ですね。「外でも中でもない空間がほしいけど、周りの目線が気になる」と話したところ、ルーバーで視線を遮るとともに窓の配置を工夫した空間を提案されました。根気強く話を聞いて要望を汲み取ってくれるのがありがたかったです。
ご主人 間取りが決まり着工してからは、平面図が立体になっていく過程を見るのが楽しかったですね。イメージ通りに仕上がっていくのがすごいなぁと。僕は子どもの頃に実家が注文住宅を建て、それができあがっていく様子が楽しかったという思い出があって。それで、自分たちの子どもにもできるだけ見せたいと思い、建設現場へ家族一緒に何度も足を運びました。
奥様 家で特に気に入っているのは、2階のインナーデッキです。わが家は2階に浴室や洗面室があって洗濯機も置いているので、洗濯物を干すのに便利なんです。家事動線がよく、楽ですね。こうした実用性に加え、多様な楽しみ方ができるのがうれしいところ。読書、筋トレ、ヨガ、お昼寝、夕涼みのほか、夏は子どもが水遊びをしたり、家族で食事やお茶をしたり。コロナ禍の緊急事態宣言のときは、子どもも自宅にずっといたので、寝袋を敷いたりしてキャンプのように過ごしていましたね。 実は、インナーデッキは個室をひとつなくして、大胆に広いスペースを取ったんです。今では「楽しむ」「疲れをいやす」「気持ちを切り替える」場所となっていて、この空間をつくってよかったなと心から思います。
ご主人 力を入れたキッチンが最も気に入っています。収納の場所や容量も最適で、ほしいところにほしいものがあるレイアウトだからです。以前より、一つひとつの作業を丁寧にでき、より料理と向き合えるようになりました。妻が子どもと一緒に庭で育てた野菜を、私がパスタや煮物に調理したり、休日には子どもが卵を割って混ぜて朝ごはんの準備を手伝ったり。仕事から帰ってきてからも、作り置き料理を仕込むなど、だいたい毎日何かしら作っていますね。最初の希望通り、キッチンを中心に暮らしているんですよ。
奥様 子どもは家について「全部好き!」と言っています。どこも遊び場になるからって。いつもよく遊んでいるリビングは、「人が集まる場所」というイメージでつくりました。段差をつけているので、そこに座って本を読んだり、プロジェクターで映画を観たり。お客様が泊まる際には客間にもなります。 また、段差をステージに見立て、子どもが歌い、主人が電子ドラムを演奏し、私は電子ピアノを弾くことも。もし子どもが楽器に興味を持てば、演奏の幅が広がるかもしれません。これからも、いろいろな形で家族のセッションをできればと思います。
ご主人 今後も子どもの成長に合わせて柔軟に暮らしていきたいですね。家は変化できる造りにしていますし、こうしようという決め事はあえてしていません。今、パントリーは僕の書斎でもありますが、もしかしたら将来は子ども部屋になる可能性だってある。そのときごとの暮らしを楽しみたいです。
奥様 空間に自由度が高く、余白をつくってあるので、余白をその時々で楽しんでいければ。そうして家族の歴史を刻んでいきたいなと思います。