誰一人取り残さない居場所「ふれんず」が完成しました!2025.10.08

名古屋市西区中小田井にて、新たな医療福祉施設「多機能型防災地域拠点ふれんず」が完成しました!
お施主様は特定非営利活動法人まいゆめ様
「医療的ケア児者とご家族が、昼も夜も安心して過ごせる居場所をつくりたい」。
そんな強い想いからスタートした本プロジェクトで、基本計画〜施工管理まで一貫でお手伝いさせていただきました。
 

こちらの施設は、地域のニーズに寄り添ったさまざまな機能を備えている複合施設です。
①「児童発達支援 放課後等デイサービス」・・・学校に通うお子様の“学童+療育機能”を備えた場<重症児デイサービスmerry>
②「生活介護」・・・日中の時間を安全に楽しく過ごせる居場所<生活介護olu>
③「診療所」・・・訪問診療を行う<在宅クリニックstella>
④「医療型短期入所」・・・利用者やご家族から1番要望の高い、医療的ケア児者の夜間の預かりが可能な施設
⑤「訪問系サービスの拠点」・・・自宅支援のための事務拠点となる機能を完備
利用者の皆さんの快適と安全、そしてご家族が安心して休息や就労の時間が持てるような支援を目的としています。
 
加えて「防災」も重要なテーマとして掲げました。
実はこの場所、2000年の東海豪雨で大きな被害を受けた地域。
そのため、地域住民やボランティアの方々と連携しながら「災害時に誰一人取り残さない拠点」を目指しました。
 

プロジェクトが動き出したのは2023年5月。
利用者のご家族やスタッフさんに加え、防災ボランティア団体や災害支援団体、地元の不動産屋さんなど、コンセプトや設計方針を固めるまでに、たくさんの人たちが集まり話し合いを重ねてきました。
 
また、通常の建築計画だけでなく、補助金活用やクラウドファンディングへ挑戦するなど、資金面での調整、防災面では他施設と連携を図りつつイベント開催も計画するなど、密に情報交換を行いながら、それぞれが自分たちの強みを活かし思い描いた施設の実現に向けて動きました。
 
なかでも最も苦労したことは「医療型短期入所」の実現です。
「医療型短期入所」とは、診療所に併設された医療的ケアが必要な方の短期の宿泊施設です。本来は緊急時にこそ対応してほしい施設なのですが、全国的に足りておらず数月前から予約が埋まってしまう、という現状があります。
 

「医療型短期入所」の運営元は医療機関が多く、NPOが運営するかたちは全国的にも珍しいため、許認可手続きなど時間を要することばかり。保健所への相談から始まり、各関係機関との協議にも労力を費やしました。
それでも、まいゆめ様の理事でもあり、医療型短期入所施設をすでに運営されているふれ愛名古屋の法人理事長の浅井隼人先生、在宅クリニックstella担当医師の浅井慎平先生、その他スタッフの皆さまなど、多くの方々の協力を得てなんとか実現することができました。
 

また、クラウドファンディングが実を結び、ご家族からの要望が多かった「機械式ミスト浴」を導入することができました!
たくさんの方々の想いが集まってかたちとなった瞬間は、胸に込み上げるものがありました。
 
さて、建物にもさまざまな特徴があります。
たとえば、浸水対策のために1階の階高を4.5mに設定しています。そのため階段の段数が一般住宅の1.5倍になってしまいました。
ただの階段では利用時の心理的・身体的な負担が大きくなってしまう…。
そこで、スタッフの皆さんと相談し、階段を虹色のカラフルなデザインにすることに!
階段の上り下りが楽しくなり「かわいい!」と喜んでいただけたのは、本当に嬉しかったです。
 

 
その他にも、
・デイサービスの様子を見守れるキッチン
・音楽療法中心の活動のため、スピーカーターミナルを設置
・ご家族が利用者の様子を見守れるマジックミラー
・天井にブランコや楽器を吊るすための金具を設置 
などなど、機能面や安全面はもちろん、そこで過ごす時間が楽しくなるような仕掛けがたくさんあります。
 

 
完成後の開所式には大変多くの方々が来場され、防災イベントも開かれました。
こうした社会的に大きな意義のあるプロジェクトに関われたことを、とても誇りに思っています。
これから「ふれんず」が、利用者の皆さんやご家族、地域のみなさんにとって安心できる拠点になっていくのが楽しみです!
 
 

設計 前田

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